【現地レポート⑥】“冬眠” から目覚めてたどり着いた初舞台
2019年12月24日
出場校が男女計100校から120校に増えたことで、これまで日の目を見なかったチームにもスポットライトが当たりだす。初出場ながら大会に爪痕を残した東海大学付属福岡 (福岡) も、その一つと言えるだろう。
昨日行われた女子 1 回戦の相手は、全国常連の強豪・札幌山の手 (北海道)。ただ、「スカウティングやトレーニングなど、やれることはやってきた」 (宮﨑 優介コーチ) という東海大学付属福岡は、初出場とは思えないほど落ち着いていた。前半33-41と 1 ケタ差でついていくと、後半も持ち味の “平面バスケット” を展開して流れをつかみ、85-72で逆転勝利。粘り強い戦いで、初めて “冬の 1 勝” を手に入れた。
そして今日、女子 2 回戦。相手は188cmの大黒柱#15 ンウォコ マーベラ ス アダクビクター選手を擁する高知中央で、序盤から相手のリバウンドに苦 しめられる。ただ、「シュートを決めたあと前からプレッシャーをかけるこ とで、相手も自分たちのリズムになってくれました」 と宮﨑コーチが言うよ うに、大きくは離されずに食らい付き、第 3 クォーターには一時 4 点差に迫 った。しかし、「最後は決定力の差が出ました」 と宮﨑コーチ。リードを保 たれ、結局59-69でタイムアップとなった。
目標の“ベスト 8 ”を懸けた 3 回戦には進めず、初めてのウインターカップ は幕を閉じた。ただ、宮﨑コーチは「新人戦の頃から苦しんだチーム。でも キャプテン (#10 稲福 七海選手) を中心に、全国を目指してバスケットボールに対する姿勢が変わりました」と、選手たちのこの 1 年間の成長を高く評価する。
「冬眠の代」
新チームが始まった頃から、宮﨑コーチはあえてそんな厳しい言葉で選手たちの奮起を促してきた。というのも、今年は精華女子をはじめ福岡県内もかなりのハイレベル。実際、インターハイ予選では中村学園女子に敗れて県 3 位となり、2 年連続のインターハイ出場とはならなかった。
それでも、夏の予選から冬の予選までの 5 か月間に、チームは変わった。キャプテンの稲福選手は言う。
「先生が国体でいないことが多い時期に、自分たちで厳しい走るメニューに取り組んだり、ミーティングを増やしたりしました。チーム内でコミュニケーションが取れるようになって、チーム力がすごく上がったと思います」
そして迎えたウインターカップ予選では、これまでずっと敗れてきた相手・中村学園女子と準決勝でぶつかり、激闘の末に 2 点差でリベンジ。決勝では精華女子に敗れるも、見事県 2 位で初のウインターカップ出場となったのだ。
“冬眠” のまま終わってなるものか、という思いで大きな成長を見せ、ハイレベルな福岡県内の壁を乗り越えた東海大学付属福岡。稲福選手は「最初は全然声が出せなかったのですが、キャプテンとして声かけができるようになったし、プレー面でもインパクトのあるプレーではなく、泥臭いルーズボールやディフェンスで少しでもチームを活気づけよう、と考えるようになりました。プレーヤーとしても人としても成長できて、大きな価値がある 3 年間になったと思います」 と振り返っていた。