現地レポート

【現地レポート⑱】報徳学園のスコアラーが抱く悔恨が実を結ぶまで

2019年12月27日

 手応えと悔しさが混在するゲームだった――。

「SoftBank ウインターカップ2019 令和元年度 第72回全国高等学校バスケットボール選手権大会」の男子準々決勝、高校総体ベスト 4 の報徳学園 (兵庫) は、同ベスト 8 の東山 (京都) と対戦し、68-72で敗れた。
「世間では東山が福岡第一 (高校総体① / 福岡) との準決勝をやるだろうと言われていて、それが悔しかったんです。僕たちは高校総体ベスト 4 で、今大会も第 4 シードを得ているので、その結果を自信にして、東山を撃破して、僕たちが福岡第一と準決勝をしようと思っていたのので、本当に悔しいです」
 そう語るのは報徳学園のスコアラー、#1 丸山 賢人だ。
 彼は 3 ポイントシュートを得意とするスコアラーだが、この日の 3 ポイントシュートは10本中 2 本しかネットを揺らしていない。本人もそれを悔しがる。自分のシュートが決まらず、3 年生を勝たせられなかったと、それを一番悔いるのだ。
 だがそれも丸山の力を熟知している、同じ近畿ブロックの東山だからこそだろう。#4 松野 圭恭が丸山にボールを持たせないよう、厳しくマークし続けた。丸山は言う。
「#10 (コンゴロー・) ディビッドとのピックプレーをするプレーが多いんですけど、(松野は) 常に後ろから手を出してきて、少し嫌がってしまったところはあります」
 そのわずかな心の揺れが彼の得意とする 3 ポイントシュートに影を落としたのかもしれない。

 それでもロングレンジの 3 ポイントシュートや、セカンドチャンスからわずかな隙を見逃さず決めた 2 本の 3 ポイントシュートは見事といっていい。3 ポイントシュートが難しいとみるや、ドライブや、カッティングからの合わせに切り替えるなど、チーム 3 番目となる17得点をあげている。手応えもあっていいはずだ。
「はい、もちろん手応えもあります。でもシュートが決まらないと僕は乗れないんです。今日は17得点ですか……25~30点くらいを取らないとチームも勝てないと思っているので……」
 直後とはいえ、やはり負けたことで、手応えも少し薄れてしまったようだ。

 むろん課題は山積している。
 本人が求めるシュートの確率アップもそうだが、全国の上位回戦でプレーしようと思えば、フィジカルコンタクトに負けない体と動きを身につけなくてはいけない。本人も自分の体がまだまだコンタクトに耐えられるだけのものではないと認めている。
「今はフェイクで相手をかわしたり、テクニックで相手のコンタクトから避けて、さらにフローターシュートを打つなど、小技を意識して練習しています。イメージとしては渡邊雄太さん (メンフィス・ハッスル)のような感じです」
 状況が異なるとはいえ、3 年生になったときの渡邊は力強くアタックするプレーも見せていた。丸山もそうなれるか。
「写真を見てもわかるんですけど、1 年生のときより間違いなく体は大きくなっています。来年はもっと大きくしていって、力強いプレーもしていきたいです」
 彼は 2 年生。ディビッドも 2 年生だし、スピードのあるドライブでチームトップの20得点をあげた#20宇都宮 陸もまた 2 年生。彼らが残る報徳学園は来年も十分にチャンスがある。それを丸山も十分に意識している。
「ゲームに出ている今年の 2 年生が多く残るので、先輩たちの悔しさも背負って、来年は高校総体とウインターカップの 2 冠を取ります」
 今はまだ線の細い丸山だが、そこだけは力を込めて、きっぱりと言い切った―。

NOW LOADING

TOP