現地レポート

【現地レポート⑪】エースが貫いた諦めない姿勢

2019年12月25日

 最終スコアは、73-100。5 年ぶりのウインターカップに臨んだ藤枝明誠 (静岡) は、男子 2 回戦、優勝候補の一角・東山 (京都) の前に力尽きた。

 第 1 クォーターこそ 1 点先行したが、第 2 クォーターからは相手ペースに。阿部 桂コーチは「ボールがうまく回らなかったですし、相手の留学生に対する攻めも練習してきたのですが、いざ本人を前にするとなかなかそれが出せませんでした。ディフェンスでも、前半から思った以上に米須君(東山 #11)にやられすぎたと思います」 と反省の弁。

 ただ、苦しい状況の中で、最後まで攻防にわたって攻める姿勢を崩さなかった選手がいる。「勝ちたい、という気持ちが誰よりも強い」 と阿部コーチが太鼓判を押すエース、#6 菊地 広人選手だ。

  点取り屋だが、ポイントガードとして仲間を生かす役目も担う。ただ今日 の試合は周りの調子が悪いのを見て、「最後は自分が攻めようと思った」 と 攻めに切り替え、最終的に36得点。チームの約半分のスコアをたたき出して 意地を見せた。

  第 4 クォーター終盤に 5 つ目のファウルを吹かれ、試合終了の瞬間はベン チの中で迎えた。それでも、「(退場は) 最後までディフェンスを激しくやっ た結果なので…。あとはベンチから応援して、最後まで諦めない姿勢をチー ムのリーダーとしてしっかり見せようと思っていました」 と菊地選手。そし て「勝負は最後まで分からないですし、20点負けていようが30点負けていよ うが、追い上げることはできると思っています。今日も途中で点差が開いてしまいましたが、『大丈夫だ、大丈夫だ』とずっと言い聞かせながらプレーしていました」 と言う。

 そうした最後まで諦めない姿勢は、自らの悔しい経験がきっかけで身に付いたようだ。「去年の県大会の準決勝で、20点勝っていたのに後半追い付かれて逆転負けした試合がありました。そのときにどんなに点差があってもひっくり返せるんだと学びました」 とのこと。

 飽くなき勝利への執念が、結果にあらわれたのが今大会のウインターカップ予選だろう。インターハイには県予選で敗れて出場できなかった藤枝明誠だが、冬の県予選では飛龍との決勝戦に臨み、菊地選手が大爆発。第 4 クォーターだけで27得点 (最終的に36得点) を挙げ、勝利 (77-62) の立て役者となったのだ。

 今大会、2 回戦敗退という結果にはなったが、冬の大舞台での貴重な経験は、チームにとっても選手一人一人にとっても今後の糧となるはず。菊地選手は充実の 3 年間を終えて「つらいことのほうが多くて、向上心を失いかけるときも何度もありましたが、自分で決めた目標を見失わずに、何が何でもやり切る、ということを続けていればいつか結果は出るんだと 3 年間で学びました。大学でも、自分で決めた目標を諦めずにしっかりやり抜こうと思います」 と先を見据えていた。

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