現地レポート

【現地レポート②】気持ちを切り替える『からの?』の心構え

2019年12月23日

「SoftBank ウインターカップ2019 令和元年度 第72回全国高等学校バスケットボール選手権大会」が、いよいよ幕を開けた。そのオープニングゲーム、第 1 試合の女子 1 回戦で、奇しくも “因縁” のカードが実現。精華女子 (福岡) vs.八雲学園 (東京) ――昨年大会の 3 回戦、延長戦にもつれる白熱の試合を演じた両チームの再戦である。

 昨年は、絶対的エース・奥山理々嘉 (現JX-ENEOSサンフラワーズ) を擁する八雲学園相手に、精華女子が怒涛の追い上げを見せたものの、延長戦の末に82-86で敗戦。当時、2 年生主体のチームだった精華女子は、目標に掲げていた「全国ベスト 8 」にあと一歩届かず大粒の涙を流した。

「あのときの悔しさが、彼女たちの中にはずっと残っていました」と語るのは、精華女子の大上 晴司コーチ。「組み合わせを見て、まさか初戦で八雲学園さんと当たるとは…と驚きました。ただ、初戦でリベンジを果たして、今年の目標である『ベスト 4 』へと向かっていけるいい組み合わせだと、選手たちも非常に前向きに捉えていたと思います」

 すると序盤から、気迫あふれるプレーで試合の主導権を握ったのは精華女子だった。#7 三浦 舞華選手や#4 樋口 鈴乃選手のドライブでディフェンスを切り崩し、守っては激しくプレッシャーを仕掛けて相手の高さを封じる。#5 粟谷 真帆選手や#4 吉田 眞子選手のシュートで追いすがる八雲学園を振り切り、最後は100‐63でタイムアップとなった。

 1 年前の敗戦から、三浦選手は「気持ちの部分で成長したかなと思います」と言う。「1 年前の八雲学園戦は、粘って接戦には持ち込めましたが、気持ちに余裕のない負けでした。たとえあそこで勝っていたとしても、余裕がなかったから次の試合が厳しかったと思います。今年はたとえ接戦になったとしても、気持ちに余裕を持ってプレーすることを意識しています」。

 その際、今年の精華女子が取り入れている面白いフレーズがある。フリースローのときなど、時おりベンチから「からのー!?」という声がかかるのだ。

 三浦選手はこのフレーズについて、次のように説明する。「シュートを外したりミスが起きたりしたときに、『あぁ~』って気持ちが下がらないように、みんなで『からの?』という言葉を言うようにしたんです。それを聞いた人は『からの…次は絶対に決める!』と気持ちが前向きになります。私は心の中でも『からの、次は?』と、自分に言い聞かせています」。また、「そうやって気持ちの切り替えを大事にすることで、より試合を楽しめるようになりました」と笑顔で話していた。どうやら『からの?』の一声が、去年足りなかった “気持ちの余裕” を生み出しているようだ。

 昨年までの『ベスト 8』から、今年は『ベスト 4』へと目標を高く設定した精華女子。明日以降の戦いについて、三浦は「ベスト 4の懸かる準々決勝では桜花学園さんと戦う可能性が高いと思いますが、まずその前に一戦一戦勝たなければ、ベスト 4懸けの試合ができないというのは全員が分かっています。今日と同じように入り方を大事にして、自分たちの強みであるトランジションゲーム、精華女子の良さを広めていきたいです」と意気込みを語る。大勝での 1 回戦突破にも、“からの?” の心構えで切り替え、次なる戦いへと挑む。

 

 

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