現地レポート

【現地レポート⑧】受け継がれていく羽黒の魂で明日も

2019年12月24日

 今年の羽黒 (山形) が持つ最大の武器は、#1 渡部凌、#2 西魁斗、そして#3 樋口蒼生の 3 人による “3 (スリー) ガード” が織り成すスピーディーなバスケットだ。夏の高校総体では、敗れたものの大会ベスト 4 の開志国際 (新潟) と110-126という超ハイスコアなゲームを展開している。
 その羽黒が「SoftBank ウインターカップ2019 令和元年度 第72回全国高等学校バスケットボール選手権大会」の男子 1 回戦に臨んだ。相手は過去にウインターカップ優勝 1 回、準優勝 5 回 (春の選抜大会時代を含む) の実績を誇る土浦日本大学 (茨城) である。
 結果は81-75で羽黒が逃げ切った。

 この試合でチームトップの得点をたたき出したのは “ 3 ガード” でもなく、土浦日本大学対策のためにスターター抜擢されたモンゴルからの 1 年生留学生 #17エンフタイワン・イデルジャフランでもない。この試合だけでなく、今大会からスターターに名を連ねることになっ #21今井弘己だった。今井はこの試合で23得点をあげている。
 チームを率いる齋藤仁コーチはその起用についてこう言っている。
「ミドルシュートがうまいことと、やはり彼のハッスルプレーですよね。下級生らしい一生懸命さをチームのプラス要素として加えたいと考えたからです」
 その言葉どおり、今井は 2 ポイントシュートを12本中10本沈め、183センチながらリバウンドを 7 本も取っている。
「僕はミドルシュートの正確さとリバウンドを求められていて、今日はミドルシュートが当たりました。大会まで何度も合宿をして、ミーティングを重ね、東京に来てからも練習試合をするなかでミスを共有して、みんなで修正してきました。それが自信になって、今日は思い切りのびのびと、楽しくプレーすることができました」
 今井は土浦日本大学戦の手応えをそう振り返っている。

 彼はまだ 2 年生。3 年生の “3 ガード” からは多くのことを学んでいると言う。
「一番学ぶのは、当たられても負けないメンタルと、食らいついていく脚ですね。3 年生は泥臭いところを意識せずにやるなど、基礎を徹底して追求していくんです。試合を見るだけではわからないかもしれませんが、普段の練習は本当にまじめで、泥臭くプレーするので、そうした姿勢の積み重ねがみなさんの目に見える、インパクトのあるプレーにつながっているんです。そうしたガード陣がいるから僕たちフォワード陣も頑張れるんです。先輩たちには本当に感謝しています」
 本当に大事なことは目に見えないということか。
 練習だけではない。レベルの高い全国大会でもいかに自分を表現できるか、そのために気持ちをどうもつかなどを下級生に示してくれると今井は言う。

 明日の 2 回戦は地元・東京の八王子学園八王子と対戦する。その試合で羽黒を見れば、きっと “3 ガード” のインパクトに目を奪われるだろう。しかし彼らの持つ、一見派手なプレーは地道な練習の積み重ねの中で生まれている。
 それを知っている今井ら下級生は、もっともっと先輩たちとプレーしたいと思っているはずだ。来年以降、自分たちが受け継いでいく羽黒のバスケットで、明日も強豪と呼ばれる八王子学園八王子を乗り越えたい。

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