現地レポート

【現地レポート⑨】3 年間で培った強気な姿勢で、次なるステージへ

2019年12月24日

 今年の県立広島皆実 (広島) は、「ベスト 4」を目標に掲げていた。それは今年の 3 年生たちにとって、“先輩超え” の意味合いもある。というのも、彼らは当時 1 年生だった 2 年前に、創部初の夏・冬全国ベスト 8 を経験。以来、偉大な先輩たちの背中をずっと追いかけてきたのだ。

 その気持ちが、人一倍強かったのがエースの #8 三谷 桂司朗選手だ。当時、1 年生ながらスターターを務め、全国ベスト 8 をコートで体験。ただ、「あのときは完全に先輩たちのおかげで、自分で何かしたという印象はありません」と言い、集大成となる 3 年目の今年、自らの力で再び全国上位に勝ち上がろうと意気込んでいた。

 しかし迎えた今大会、1 回戦に強敵が潜んでいた。インターハイでは北陸 (福井) に敗れ、1 回戦で姿を消していた船橋市立船橋 (千葉) だ。

 勝負のポイントとなったのは第 1 クォーター序盤。「攻守にわたり、市立船橋さんの気持ちの入ったプレーに対して立ち上がりで少し面食らってしまいました」 と藤井 貴康コーチが言うように、10点前後の差を開かれ、その後もずっと追いかける展開に。差を縮める時間帯はあったものの逆転には至らず、最後は73‐91でタイムアップ。悔しい 1 回戦敗退となった。

 ただ、三谷選手は代わるがわるさまざまなタイプの選手にマークされながらも、強気な姿勢を貫いて39得点・20リバウンド。エースとして、最後の全国大会で意地を見せた。「最後は (力を) 出し切れたとは思います。負けてはしまったんですけど、3 年生が一つになれたと感じたときがあって、その時間帯はすごく楽しかったです」 と、悔し涙をぬぐう。

 振り返ればこの 3 年間は、三谷選手にとって非常に濃い日々だったことだ
ろう。「いろいろなことがガラリと変わった」 という 2 年前のインターハイ
をきっかけに、U16やU18の日本代表に選出され、3 人制でも代表としてプ
レー。国際大会などでアジアを飛び回り、何度も広島と東京を行き来しなが
ら自チームと代表活動を両立してきた。藤井コーチが「広島皆実の活動だけ
では、今の桂司朗はなかったと思っています」
と言うように、多忙な日々に
も言い訳をせず、貪欲にいろいろなことを学び続けてきたからこそ、世代を
代表するオールラウンダーへと成長を遂げた。

 また、当の本人は、自身の 3 年間での変化をこう語る。「ドライブインか
らのフィニッシュや外からのシュートなど、オールラウンドにプレーできるよ
うになったと思います。それに、学年が上がるにつれ相手からのマークも厳しくなっていきましたが、厳しい中でもゴールまでこじ開けられるようになりました。精神的にもタフになれたのかな、と思います」
。新チームが始まったとき、三谷選手は「弱気は最大の敵」 という言葉を意識していると話していたが、集大成となる今大会はまさに “弱気” を振り払い、最後まで強気な姿勢を貫いていた。

 高校 3 年間での貴重な経験と学びを糧に、次のステージへと歩みを進める三谷選手。大学に進む前に、まずは B リーグ (B2) の広島ドラゴンフライズで特別指定選手としてプレーする。「広島ドラゴンフライズは地元で身近な存在でもあったので、そこで一緒にプレーできるのはすごくうれしいこと。高校生でも、B リーグで頑張っている姿を見せたいです。そして大学では 1 年生だからって言い訳せずに、しっかり積極的にプレーして少しでもプレータイムを多くもらって、ゆくゆくはチームの中心選手になれるように頑張りたいです」 と、先を見据えて意気込みを語った。

 

NOW LOADING

TOP